マナーに拘るマナー違反

マナーとは、行儀作法をさすのですが、行儀作法だけ出来ていればマナーが良いかというと、私は「それは違う」と感じます。。

私は、日本とオーストラリアの5つ星ホテルでコンシェルジュとして勤務をしていました。

そこで習った「マナー」と、一般の方の思う「マナー」との差がとても大きいので、今日は、「マナー」の本質について書いてみます。

 

 

マナーに拘るマナー違反

よく、マナーに拘るあまり、逆にマナー違反になってしまっている方をお見かけします。

例えば、この画像のように「拝み箸」で「いただきます」をされる方を見て、正直、嫌な気分になりますか?
(私は、全く嫌な気分にはなりません。)

確かに、正式な和食のマナーからするとNGです。

ですが、会食の場で 画像の「いただきます」を見た途端、鬼の首を取ったかのごとく「それ、マナー違反って知ってる?」と指摘する人(涙)
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私は、こちらの方が 余程マナー違反だと習いましたし、実際にそうだと思います。

たとえ親子関係であったとしても、このタイミングの この言い方は、やはりマナー違反です。

厳しい指導で有名なマナー講師の方がいらっしゃいますが、あの先生は仕事で依頼をされてしていらっしゃいますので、依頼した側の希望通り厳しくしっかりと指導されるのがプロとして当然だと思います。

ですが、一般人がマナー講座でも無い場で・・・「あんた、何を勘違いしてそうなった?」って思いますね(^-^;

この「それ、マナー違反って知ってる?」の一言で、言われた人は「公開処刑」をされたような気分になってしまいますし、「これから美味しい&楽しい食事をする♪」という雰囲気も台無しです。

もし、本当に相手の事を想って「それ、マナー違反だよ」って教えてあげたいなら、食事のあとで二人きりの時にコソッと伝えるとか、母親が子供に言うにしても、(うちは男の子だったので)息子にだけ聞こえるように「お箸を置いて『いただきます』する方がカッコイイよ♪」とか、その場の雰囲気を壊さない言い方や伝え方は 沢山あります。

 

 

そもそも「マナー」とは・・・

そもそも「マナー」とは、なんぞや?が間違っていると、全てが台無しですよね。。

5つ星ホテルで叩き込まれたのは、

・お客様に(たとえお客様が間違っていても)恥をかかせないこと

・お客様に笑顔で気持ちよく過ごしていただくこと

この2つが軸でした。

 

これを日常生活で言い換えるなら、「一緒にいる人に笑顔で楽しく気持ちよく過ごしてほしい」と思う心こそが「マナー」ではないでしょうか。

だから、

・カタチだけのマナーに囚われて、本質を見失っている人

・マナー違反を指摘して「私はあなたより優れています」を ただ単にアピールしたいだけの人

は、見ていて「いや、それ、違うから・・・」と(^-^; 思っちゃいますね。。

 

5つ星ホテルのフレンチレストランで研修があった際、とても素敵な女性がスタッフにこう仰いました。

「私、あまりこういう高級なお店のマナーを知らないので、何か間違ったことをしていたら教えてください^^」と。

スタッフの回答は、

「一番のマナーは、リラックスして食事をお楽しみいただくことです^^ カトラリーは、お客様が一番使いやすいと思うものをご使用ください。こちら(カトラリー)は、あくまで『これが一番食べやすいのではないか?』という我々の考えで外側から順にお使いいただくようご用意はさせていただいております。ですが、実際に使いやすものでお召し上がりいただくのが正しいマナーでございます^^ もしご希望でしたら、お箸もご用意させていただきますが、いかがいたしましょうか。」と!!

うん。これこそが お客様と女性とが お互いに相手に対するリスペクトを持って対応をしている「本当のマナー」だと 私は感じました。

 

 

マナー違反になる「心」

公の場で、誰かに恥をかかせる癖のある人は、心が満たされていない人です。

誰かの間違いを指摘することによって「私は特別」「私はすごい」「私は優れている」などを主張したい人です。

それって、とても可哀想な「心」なんです。

ですから、もし、そんな人が周りにいたら「可哀想な人」と思って、許してあげるようにしましょう。
(許せない事もあるけど・・・(^-^;)

そして、もし、自分が誰かのミスを「公開処刑」のような形で指摘したくなったりするようなことがあれば・・・。

その時は「出来ないコイツが悪い!」とか「教えてやってるんだから感謝しろ!」なんて開き直らずに、ちゃんと「おっと・・・私の精神状態、かなりよろしくない(^-^;」と気付いて、自分で自分の心をケアしてあげてくださいね。

 


 

こんな記事を書いている私ですが、実はマナーゼロの両親に育てられたので、ホテルに勤務するまでは、行儀作法や一般常識すら知らないマナー最低女でした。

親の間違った「教え」のお陰で、私が学生時代に どれだけ友人にバカにされ、友達が減ったかは、ご想像いただけるかと思います。

「ともちゃんと一緒にいると恥ずかしい」とまで言われた程です。

でも、その時に、私に正しい事を教えてくれた人もいました。

その教え方も、カチンとくる言い方をする人もいれば「教えてくれて ありがとう」と思う言い方をする人もいました。

結局、出来ない&知らない私が一番悪い事に変わりはありませんが、それでも、やはり言い方や言うタイミングによって、同じ事を言っても伝わり方が全く違います。

 

伝え方や言葉の選び方はとても大切です。

相手への愛と感謝と尊敬・尊重があれば、全ては上手く行くと。。というか、愛と感謝と尊敬・尊重の気持ちこそが「マナー」なんじゃないかと、最近は感じます。

ハートがあたたかくなる関係を築ける人間でありたいと思います。